2013年9月1日日曜日

夜明けの森の…

…嗚呼、夜が明けるのか。
まだ空は下弦の月と幾つかの星を残していましたが、東の峰の方はもう明るくなり始めていました。
流星群を見よう、と薄い毛布に双眼鏡、小さな洋燈、温かい紅茶と軽食だけを持ってこの草原に来て、夜空を見上げるうち眠ってしまっていたようです。
寝そべったままで、揺れる草花と呼吸を合わせていると、遠くで草を踏む音がした気がしました。
なんだろう。兎?…それにしては音が大きい?
好奇心に負けて上体を起こすと、少しばかり離れたところに大きな影があります。何処かから迷い出た馬か鹿のような後姿です。
しかしその影がこちらを向くとそのどちらでもないことがわかりました。鹿のような大きな2本の角ではなく、1本だけが氷柱のように天に伸びた馬です。
ユニコーンだ
ユニコーンは峰の隙間から差す光に照らされた、萌葱色と浅黄色の草を食べていたようでした。
その時です。朝日に染められた薄紫と薄い朱色の靄がすぅっと辺りを包むように降りてきました。朝日は拡散し、草原は白い靄に覆われてゆきます。
ユニコーンはその靄の向こうに消えてしまいました。
…あれは、夢だったのかもしれない。
妙齢の魔女は、あの夜明けの不思議な出会いを遠い昔に思いを馳せるように呟きました。
まるで夢でもみていたかのような。
そんな魔女の思い出を形にしてみました。
月と、朝焼けに光る星を模したパール、そしてユニコーンを飾り、朝焼けに照らされた草原の色をしたチョーカーでまとめました。
9/1 画像差し替えました。

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